<米国自動車サイトmotortrend.com より>
 Acura TSX 対 メルセデスC230 対 サーブ9

http://motortrend.com/roadtests/sedan/112_0307_30k/

上記3台のスポーツセダンは、3万ドル(約300万円)を少し超える価格で、燃費に優れ、またドライブの醍醐味を感じさせてくれるクルマ達である。
エントリーレベルの高級車におけるスポーツセダンと聞いた時、あなたなら何を思い浮かべるか?「エントリーレベル」と「スポーツセダン」が同時に出てくるとなると、それは6気筒であるBMWやインフィニティ、アウディ、メルセデス、ジャガー等の29,999ドルをベースとする車だろう。しかし、たいがいの場合、オプションを付けた途端、すぐに35000ドル、40000ドル、あげくは45000ドルとなってしまい、ディーラーから逃げ出さなくてはいけなくなる。
上記3つのプレミアムブランドの提供するエントリーレベルのスポーツセダンは、28000ドルから33000ドルなのにしっかりした装備で、4気筒エンジン+プレミアムガソリンでの燃費も良く、6速ギアによる運転も楽しい。1台は自然吸気。1台はスーパーチャージャー付き。3台目はターボチャージャーだ。これらの4気筒は、V6カムリとBMW3シリーズの中間の価値しかないか?それとも、「4気筒の高級車」ということ自体が矛盾なのか? 2週間にわたるテストが、その答えを出してくれるだろう。
これらのうち、最も新しいデビューは、FF車であるAcura TSXである。位置づけは、RSX(インテグラ)とTL(インスパイア相当)の間にある。TSXは、2.4L 200馬力i-VTECエンジンを持つ、ホンダアコードのヨーロッパバージョンをベースとしている。
2番手は、メルセデスのコンパクトC230セダンスポーツパッケージだ。1.8Lスーパーチャージャー 189馬力で、ベースとAMGスペックの中間に位置する。
3番手は、サーブ93だ。GMの世界プラットフォームをベースとしているが、このベースを使った車には、シボレーマリブ、ポンティアックグランダム、オペルベクトラがある。2L スエーデン伝統のターボチャージャー付きで210馬力のFF車。安いモデルでは175馬力のターボ車もラインアップしている。
<エンジン>
Acura TSX が、高回転の最新のVTECエンジンの力で、加速競争ではチャンピオン。アキュラのパワートレーンは、「4気筒の真珠」とも言えるほどだ。軽いタッチのクラッチペダルとの組み合わせは、“熱いパワー”と“静かさ”を同時に実現している。燃費も30マイル/ガロンと良好だった。
<ハンドリング>
アキュラとサーブはFF車で、ベンツはFR車である。スタビリティについては、TSXが1番である。2番はC230となる。
しかし、主観的には、我々のハンドリングコースと高速道路での好みは、C230が1番だ。ハンドリングが正確で、重さも適度だ。ブレーキ制動もよい。
2番目に好きなのは、静かで快適と言う点で、シャープなハンドリングを持つアキュラだ。サスペンションのセッティングは、完璧と言える領域だ。TSXの走りは非常になめらかであるが、惜しいのはC230に比べ、ハンドリングが過敏に思える点だ。
<外観>
スエーデンはモダン、ベンツは重厚、TSXはスポーティ。
TSXには、アウディとアルファロメオの影響が感じられる。
<インテリア>
TSX はスポーティと豪華さがうまくミックスされている。ベンツはシートが良い。サーブは操作ボタンが多すぎる。
<コストパフォーマンス>
これはTSXが圧倒的にトップだ。VSA、17インチホイール、HIDヘッドライト、ムーンルーフ、オーディオ&クルーズコントロールボタン付き革巻きステアリング、左右独立エアコン、キーレスエントリー、6連CDチェンジャー付きプレミアムサウンドシステムが標準装備だ。唯一のオプションは、ボイスコントロールナビだけだ。
<ドライビングの楽しさ>
サーブはスロットルとコーナーリンググリップが楽しい。
TSXは、最もドライバー中心に考えられたセダンだ。そのハンドリングは、FF車であることを忘れさせてくれる。
C230は、スポーツセダンである必要は無いのだが、FR車であることとエンジンの良さが光っている。
<結論>
どの車がベストチョイスか? スポーツセダンとは、自ずと限界へ駆り立ててくれ、しかし一方では、実用的なキャビンおよびトランクスペースが確保されており、さらには快適な豪華さと燃費の良さも必要だ。
サーブは、価格面と控えめなヨーロッパスタイルが魅力的ではあるが、スポーツ性ではアキュラやメルセデスに劣る。3位とする。
TSXは、反対に、高回転エンジンと軽快なハンドリング、質感に優れている。しかし、ハンドリングがややシャープすぎやしないか?またブレーキ制動ももう少し強力でもよい。
最後に残ったのは、C230だ。しっかりした乗り心地とコーナーリング、そしてメルセデスのエンブレムは強力だ。FR車ということは、このカテゴリーで多くの購入層にアピールするだろう。もし予算が30万ドルあるのなら、この車を1位としてお勧めしたい。
★惜しくもこの対決では2位でした。しかし、日欧アコードがベースとなっているAcuraTSXの位置づけの高さもわかっていただけたと思います。