<英国自動車雑誌サイト car enthusiastより> ・ロードテスト〜 ホンダ アコード・ツアラー http://www.carenthusiast.com/roadtests.html?article=309 大きくしかも速いステーションワゴンは必要か? マーケットを見渡すと、家族や犬、荷物をたくさん載せながら、信号グランプリではホットハッチにも絶対負けたくない人がいる。 「速い」と「ステーションワゴン」を同じ文で聞く時、私はAudiやBMWのワゴンを思い浮かべる。ジャガーも新しいタイプXエステートで同様のものを出した。そして、メルセデスワゴンの派生モデルであるAMGも忘れてはいけない。これらの車には、荷物を運ぶという実用性と同等に「ステータス性」がある。今迄、ホンダアコードは、同じカテゴリーで語られることは無かった。 アコードの名前は、ホンダの中では最も伝統ある成功したモデルの1つという位置づけだ。アメリカでは、その販売台数において、フォードのピックアップトラックがトップを取る迄は、ベスト1を誇っていた。しかし、イギリスでは、くたびれた小型タクシーや年金生活者と結びつけられるイメージしかなかった。先代で、Type-Rというホットバージョンがあったにも関わらず。ホンダは、今回のモデルでイメージの一新を図りたかったはずだ。シャープではっきりしたスタイリングは、高度な品質と最新のテクノロジーで固められている。ステーションワゴンタイプは、「ツアラー」と名前を改められ、ステーションワゴン市場へ高い志を持って戦うことになった。 私たちの元へツアラーが届けられた時、私の一目見た感想は、細部まで質感の高いスタイリングだなということだった。(特にヘッドライトやテールライトを近くで見た時) しかし、全長がびっくりするほど長く、またリアオーバーハングがちょっと不格好だなとも思った。もちろん、これはスペースのためであり、リアシートの後ろには広大なラゲッジスペースがある。ホンダは、BMWやメルセデス他のメーカーと同じ「走行性能」という土俵で戦う一方、実用面を犠牲にはしなかったのである。 リアハッチを開けること、そのこと自体に意味が込められている。キーのボタンを押すとモーターによって自動的にテールゲートが持ち上がって行く。再びキーボタンを押すか、リアハッチのボタンを押すことで、テールゲートは自動的に閉じる。子供や犬を抱いていたり、買い物袋で両手が塞がっている時は重宝する。カーゴルームには、よく考えられた幾つもの機能が付加されている。フロア下には、大きな収納スペースが隠されている。また電源コンセントや荷物固定用フックなども使う時だけ現れる。 これらの細部にまで行き届いたこだわりは、室内にも及んでいる。この圧倒的な質感。全てのスイッチはレバーは完璧なほど適切な重さのタッチだ。エクステリア側のドアハンドルは、おそらくどんな車より扱いやすいタッチだ。ギアシフトノブも同様。イグニッションにキーを差し込むと、自発光メーターが点灯する。これがキャビンに完璧にモダンなオーラを放っている。Type-Sのテーマはスポーティーで、これは部分レザーシート、メタリック効果のダッシュボード、シビックType-Rにも採用されているアルミシフトノブで体現されている。同時に、伝統的な内装であるエグゼクティブ・トリムを選ぶこともできる。 シフトノブは、6速ギアボックスに連結され、エンジンの強大なパワーをフロントホイールに伝えている。新世代のホンダVTECエンジンは、S2000で使われているような高回転高出力型のエンジンではなく、中回転からも強いトルクが発生するようにチューニングされている。これは、アコードツアラーにマッチしている。後部座席に快適に座っている親戚をおびえさせることなく、大地をすばやく走り抜けることができる。 アコードセダンの方が、ワインディングロードを走り抜けることにより適しているが、ツアラーでもきっと満面の笑みを浮かべるはずだ。トラクションコントロールは、スイッチを切らないほうがいい。これが働いていると、タイトコーナーでのパワーの伝達を適切にコントロールしてくれる。システムを使わないと、ホイールスピンを引き起こし、ぎくしゃく感を覚えるだろう。ブレーキの効きもすばらしい。これは、人と荷物を満載した状態での車を止めるために発生した副次的なメリットと言えるだろう。どんなにハードなドライブをしても、ブレーキ制動に不満を覚えることは全くないはずだ。 ある意味、アコードツアラーType-S は、2面性を持っている。1つの顔は、クラス随一の積載能力。これは、ボルトやナットに至るまでの高品質によって支えられている。加えて、アコードは洗練され快適だ。2つのマフラーとダークグレーのアルミホイールは、もう1つの顔を象徴する。VTECエンジンが高回転まで回る時、アコードは俊敏に前に押し出される。ただ、個人的には、このスポーツ性を押し殺して、ライバル達が強みを発揮する6気筒エンジン音に対抗したい。 新車を買うことは、いつも心と頭の戦いだ。しかし、もちろん最後には財布が最終結論を下す。このテストで使用したType-Sは、20,500ポンド(1ポンド=198.2円 406万円)だ。潜在的なライバル達との戦いにおいては、極めて高いバリューフォーマネーだ。しかし、戦う相手の範囲は広い。BMW3シリーズやAudiA4、メルセデスCクラスのワゴンタイプは小さいし、アコードツアラーと同等のポテンシャルを得ようとすると数千ポンド高くなる。日産プリメーラワゴンやルノースポーツツアラーは近い存在だが、高級感や速さでアコードツアラーに及ばない。レクサスISスポーツクロス(ハリアーのこと)は、2リッター6気筒エンジンで500ポンド以上(=10万円以上)高い。フォルクスワーゲン・パサートは、興味深い2.3リッター5気筒エンジンで、アコードツアラーと同様にプレミアムクラスだ。最も近いライバルは、スバルレガシィ・スポーツツアラーだろう。こいつは、2.5リッターエンジンで、19,500ポンドかSEバージョンで21,000ポンドだ。 冒頭での私の質問に対する答えは、消費者が自分のためのケーキを望み、同時にそれを食べたがっていることを、自動車メーカーがはっきり理解すべきだということだ。ホンダアコードツアラーの登場で、魅力的なモデル選択が増えた。VTECエンジンの能力には疑問の余地はないものの、この車の目指す世界のトップには、まだいくつかの6気筒エンジン車が君臨している。 <抄録> パフォーマンス ★★★★★ よもや時速140マイル(224km/h)で家族を乗せて旅行をしようとは思わないかもしれないが、それができるとわかったら、あなたも嬉しいはずだ! アコードツアラーは、速く快適に運ぶと同時に、スポーティーな面を併せ持つ。 パワートレーン ★★★★★ 6気筒エンジン車の方がいい音だが、これはもう1つの強烈なVTECユニットであり、素敵な6速ギアが組み合わされる。 ハンドリング ★★★ 理想を言えば、アコードツアラーはFRであってほしかった。トラクションコントロールはオンにすべし。 経済性 ★★★★ 2.4リッターのエンジンは、パーフォーマンス発揮のためにはそれなりのガソリンが必要。ただ、アコードのエンジンは、ヨーロッパの排ガス基準5星をクリアした最初のエンジンだ。 操作感 ★★★★★ すべての操作ボタンやレバーが、すばらしいタッチ。ステアリング操作の面白さは星半分減点だが、ステアリングの正確性は減点を補って余りある。 外観 ★★★★ 大胆なスタイリングはいつでも賛否両論を巻き起こす。アコードの外観について議論をする人が少なからずいて、ただの「その他大勢の日本車」ではないことを物語っている。ただ、リアオーバーハングはなあ... インテリア ★★★★★ ホンダは、アコードで高級車部門に殴り込みをかけた。質感とデザインはこれをおおいに助けるだろう。 安全性 ★★★★★ ヨーロッパ安全基準で4つ星は、非常に良い。我々は、標準装備の数々の安全装置に対し、さらに星をあげたいくらいだ。 装備 ★★★★★ 400万円クラスの車に必要な装備は全て揃っている。これに加えて、上でも述べた安全装備の数々。このことは、極めて重要なことなのだ。 |
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