<英国自動車雑誌サイトAuto Expressより>
長期テスト〜 ホンダ アコード・ツアラー

「2003/9月 第1回レポート」
http://www.autoexpress.co.uk/?http://www.autoexpress.co.uk/previews/previews_story.php?id=35348

洗車するのは何やら癒されるものである。汚れを洗い流し、エンジンをいい状態にすることで、真の満足感が得られるのである。その車が、まだ納車から5週間しか経っていないのなら、たいした労力もかからず、ただ勢い良くホースの水をかけてやれば良い。
さて、我々の長期テストに新たに加わった車は皆、Auto Expressでの過酷な毎日への挨拶として、激しい洗車を(写真のとおり)受けるのである。
我々は、今回、ホンダ・アコード・ツアラーを選んだ。理由は、その積載能力にある。この車は、Auto Express誌における2003年のベストステーションワゴン賞を受賞した車だ。(註:さらに2004年も連続して受賞している)ずっと前から、家具を運ぶ必要があったのだ。しかし、私は、この車がどう休日に活躍してくれるか見てみたかった。9月のヨークシャー渓谷へ、1週間のマンテンバイク旅行をする我々2人にとっては、悪天候に対処するためのウェザーギアは必須アイテムであり、重装備で出かける必要があったのだ。
しかし、アコードツアラーのとっては、極めて容易いことだった。特に2つの便利な機能によって。電動テールゲートの御陰で、どんな荷物を持っていても、テールゲートを開けるために、いちいちそれを降ろす必要が無い。また、後部座席が1つの動作で倒れるのも、天才的だ。単に後部座席のレバー1つで、ヘッドレストが倒れ、座面が持ち上がり、背もたれが前方に収納されるのだ。

我々の2台の自転車は、難なく荷室に収まり、ラゲッジカバーで覆われた。そして、前に滑り出さないようにネットで仕切られた。残念なのは、内装の色をベージュにしてしまったことだ。これは汚れが本当に目立ちやすい。スペアタイヤを取り外すと、荷室下の収納庫も非常に使い勝手がよい。タイヤの代わりに防水液を1缶入れることにした。

アコードでの旅行から帰った感想を述べたい。自宅のあるケントからヨークシャー渓谷までの旅は、全く苦労知らずの快適なものだった。2.4Lエンジンは、ホンダにしては驚くほどトルクがあり、非常に静かに巡航し、燃費は32.3マイル/ガロン(11.5km/L)を記録した。この燃費は、187馬力で6速ギアの車を結構飛ばした結果としては、なかなかのものだ。乗り心地は本当にいい。もし、ルームミラーの中に、テールゲートの存在を確認しなければ、ステーションワゴンを運転していることを忘れてしまうほどだ。ブレーキは強力で、ターンもシャープにこなし、グリップもよい。
そのうえで、室内空間の素晴らしさにも触れなければいけないだろう。これはアコードが最も強い分野だ。フロントシートはゆったりとしており、快適だ。そして、車内空間も広い。しかし、最も大きな“ボーナス”は、大画面のナビだ。これは、エグセクティブモデルに標準装備のものだ。
しかしながら、これだけのプレミアムな雰囲気と豪華さにも関わらず、我々はグローブボックスあたりからの異音に気がついた。もう1つ、夜の運転時に、ディスチャージャーヘッドライトの光軸がずれていることにも気がついた。私のディーラー(ベグスレーヒースにあるホワイトハウスホンダ)は、無料で修理してくれることを約束してくれた。


「2004/5月 第2回レポート」
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街に住む上で、避けて通れないことがある。それは、ごみの袋を持って、廃棄場まで何回か行かなければいけないことだ。このところ、休日は、ずっと雑草の生い茂った庭の手入れをしている。雑草や蔦などが詰まったゴミ袋は11袋にもなったが、我がアコードツアラーの御陰で、2回の往復で済んだのだった。全くありがたいことだ。まあ、困った事と言えば、あまりに便利なので、テスト期間を終えても、ずっと週末の荷物運びに使い続けたくなってしまったことだった。
アコードを人気車にしたポイントには、全くケチをつけることはできない。なぜなら、ほとんどの基本ポイントを上手にカバーしているからである。明らかに、荷室は大きな魅力である。シートダウンした時は、1707Lを誇る巨大なカーゴスペースになる。しかし、さらにアコードツアラーには、ライバルに差を付けるいくつかの便利な機能がある。1つは、ワンレバー操作で、フラットフロアになる機構だ。電動テールゲートも、極めて便利。同僚達が言っていたが、飼い犬は皆、不思議そうな顔をして、ひとりでにテールゲートが開くのを眺めているそうだ。
このように荷物の運搬にはとても使い勝手がいいが、同時にエンジンの使い勝手も非常にいい。ドライバーの視点で言えば、“上の上”だ。我々の車は、2.4エグセクティブで、高級クラスを受け持っているものだ。標準装備のナビは、そのタッチスクリーンの御陰で、最も使いやすいナビの1つと言える。ナビはオーディオコントロールも兼ねている。前席は、今迄乗った車の中で、最も快適なシートの1つである。シートは、電動式調整で、簡単に最適なポジションに合わせることができる。
しかし、完璧でない部分もある。それは、明るい色のレザーシートは、汚れがつきやすい点だ。我々はシートをきれいに保つため、実に時間を取られる。しかも、完全に拭き取りきれないのだ。同じことが、荷室にも当てはまる。上述のごみ捨てでも、荷室には汚れが付着した。傷もつきやすいように感じる。
ホンダは、最近、ドライバーパワーによる2003年顧客満足ランキングで、4位を獲得した。この顧客満足度の高さは、重要なキー項目だ。しかし、我々長期テストチームには、不満がある。前回レポートで、ディスチャージャーヘッドライトの光軸調整不良を報告した。これは保証の下、たった20分で作業終了となった。
サンルーフは、12,500マイルで1回修理したにも関わらず、13,190マイルで開く時間が遅くなり始めた。幸いなことに、かかった修理費用は105.26 ポンドで、ルーフの修理と同時に運転席側窓のキーキー音も直してもらえた。
残念ながら、サンルーフの故障が再発する一方で、カタカタやキーキーといった一連の異音も続いている。最も大きな音は荷室からだが、後部座席からもこもった音が聞こえる。一方、いいニュースとしては、グローブボックスからの異音はいつのまにか消えてしまった。
一連のアップデートのため、車をディーラーに持って行っている。全ては無償保証されている。アラームは、極端な温度で作動しないように微調整され、テールゲートダンパーは交換、エンジン・インテーク・ブレザー・パイプも交換となった。明らかに、製造において問題がある。信頼性の問題は、ボディーブローのようにゆっくりと効いてくる。ナショナル・タイヤ・サービスは、穴1つにつきたった10ポンドの修理を宣伝している。この車の積載能力と運転性能に対するすばらしい評価にも関わらず、ホンダは、これまでのところ、完璧にスムースなサービスが提供できていない。陽は、オーナー経験次第では、陰り始めるものである。

2004/9月 第3回(最終回)
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私は週末に引っ越しをするが、アコードツアラーを借りることができるか? これは、過去13ヶ月間にわたって、Auto Express編集部で何度も聞かれた言葉である。少なくとも編集部4名のメンバーが新しい家へ引っ越したが、長期テストチームの所有する車の中で、このビッグホンダほど、この仕事にうってつけの車はなかった。
写真の中の「売り出し中」の看板には、2つの意味が込められている。なぜなら、この愛すべきステーションワゴンは、2.4Lの働き馬としてよく働いてくれた。その感謝の意味。そして、今、新しいオーナーを探し始めたのである。27,300マイルの走行距離で、(神のみぞ、どれほどの荷物を運んだか知る)アコード・ツアラーとも別れの時がやってきた。
ステーションワゴンの存在理由は、実用性と多目的対応性だ。そして、このアコードツアラーはどうだったか? 全体として見れば、非常に高い得点を取った。荷室は、後部座席を倒さなくても大きいが、簡単にフラットシートにできる機構を使えば、1707Lもの巨大な積載力を誇り、たくさんの小箱でも家具のような大物でも飲み込んでしまう。荷室下には、手軽な収納スペースが画されており、私はそれを時々荷物が転がるのを止めるために使ったものだった。
ワンレバーでのシートフォールディング機能は、すばらしいアイデアで、背もたれが倒れると同時に座面が前にせりあがる仕組みだ。しかし、完璧ではない部分もある。60:40に分割された後部座席のうち、大きい方については、誰でも片手で折り畳みができるというのは、言い過ぎのように思えるが。
もう1つ気になったのが、車内の色だ。ベージュの革と布(ホンダはアイボリーと呼んでいるが)は、いい選択とは言えなかった。我々は、汚さないように細心の注意を払ったにも関わらず、掃除は悪夢のようだった。
車をホンダに返却する前に、プロの掃除人が、内装をきれいにしにやってくるだろう。あと1つ車内に関係したことで注文をつければ、前席の間にある小物入れだ。何らかの理由で、取り付けがゆるんでいた。たぶんドライバー1本あれば解決してしまうものとは思うが。6速ギアのガソリンエンジンを持ったこのすばらしい巡航クルーザーは、高速道路はもちろん、街乗りでも同じくらい快適だ。
ドライビングポジションは快適で、電動シートはどんな身長体型の人にも人気ある。ナビも素晴らしく、特に知らない道を走りながら、新しい家へ帰る時は実際に重宝した。正確だし、わかりやすく、最も優れたナビだと言える。
もう1つの標準装備のアイテムは、電動テールゲートだ。キーひと押しで、ハッチの開閉を遠隔操作できるのだ。初めて見た時は、単なるみせかけの小道具と思ったが、それは間違っていた。幼い子を両腕に抱えたり、箱やごみ袋を両手で持っている時に、ありがたみがわかったのだった。25,000マイル時には、ロンドン北部にあるアランデイ・ホンダに定期点検を依頼した。スタッフは優秀で、車はきちんと点検整備された。
請求書を見て一番興味深かったアイテムは、チェック・イット・キット(エンジンオイル、スクリーン、ワイパー)で、たった8ポンドだ。疑問に思って聞いてみたら、荷室の下に入っているという。全てのホンダ整備工場が提供するもので、顧客調査に基づくサービスとのこと。私は、「不必要だったら、請求書からも除きます」と言われたが、新しいオーナーのためには便利だろうと思い、「いや残しておいてくれ」と言った。

★なかなか興味深い英国誌のレポートです。日本の雑誌の評価は、セダンの評価かと疑うようなものが多く、単なる車オタクの評論家にステーションワゴンを評価させてはいかんなと思うことが多いですが、このレポートは一味違うと思いました。加えて、例の異音もはっきりと指摘しています。まっとうな評価だなと思います。純正ナビは、音声認識が全く書かれていないですが、欧州仕様はタッチだけなのかな? 米国のTSXは音声認識ナビです。