<米国Car and Driver.com>
 スポーツセダンのベスト車は?
 Acura TSX VS Audi A4 VS Subaru Legacy VS Volvo S4 (第4回)
http://www.caranddriver.com/article.asp?section_id=15&article_id=8550

<結果>
1位AcuraTSX 2位Volvo S4 3位Subaru Legacy 4位Audi A4
「BMWって本当に高いよね。加えて、現在の石油高騰で、中東で何が起こるか不透明な時代に、BMW並みの大枚を支払うのはふさわしくないのかもしれない。
諸君が知っているように、BMWはスポーツセダンのベンチマークだが、もはや3万ドルもかけて新車を購入するのがためらわれる今、同じカテゴリーで若干安い他のブランドをチェックしてみるべきだ。
ご心配なく。既に我々がチェック済みだ。
まず、アルファベットトップ から始めよう。AcuraTSX が一番手だ。Acuraは、6速MTとすばらしい2.4L4気筒VTECエンジンを組み合わせたTSXをデビューさせた。これは、BMW3シリーズよりも7インチ全長が長く、後部シートは大人でも快適で、しかも高速での燃費は29mpgにも達する。実は、このクルマは、USアコードよりもスリムな欧州アコードがベースとなっている。我々は、TSXを初めて運転して以来、この最高に素敵なクルマを比較したくて仕方なかったのである。」

次は、同じAのAudiA4 だ。もしスタンダードなターボエンジンの1.8L4気筒を選ぶならば、4WDは言うまでもなく、その6速ギアボックス無しにはいられなくなるだろう。また、今回の価格レンジの中でも極めて静粛なコンパクトセダンを選ぶことができるはずだ。EPAは高速道路での燃費を31mpg(13km/L)は約束してくれるであろう。
A4は、小型サイズの輸入スポーツセダンの中では、ややデビューから時間が経っており、もう3年経過している。しかし、“ケーリーグラントは老いず、さらにいぶし銀の魅力を見せる”だ。同じことが、この車にも当てはまる。金属に包まれた全身からは、一種のクラシカルな筋骨を感じさせてくれる。インテリアに関しては、完全無欠な雰囲気を持つ。

残り2台の輸入車もクラスに合ったクウォリティを持つ。スバルは、新型のレガシィをリリースしたばかりだ。スバルは、絶対的なターボパワーを誇るインプレッッサWRXを通じて、大馬力がアピールすることを発見した。そこで、WRXをベースに250馬力のレガシィ2.5GTをデビューさせたのだった。
もちろん4WDは標準装備。水平対抗4気筒エンジンは重心を低くすることに貢献している。昔の腰高なスバル車のイメージは忘れたほうがいい。この車は、速く走るために作られた車なのだ。

最後はボルボS40だ。S40は、218馬力ターボ付き5気筒2.5Lエンジンと6速MTが組み合わされる。燃費は、31mpg(13km/L)だ。S40はマツダ3(アクセラ)やフォードフォーカスとプラットフォームを共用する小型車だ。しかし、S80と同様に、ボルボファミリーの姿を与えられている。

これらの競技者たちを一回りしながら、メルセデスベンツC230も加えたかったが、価格が高すぎた。

さあ、燃費のよさと運転する楽しみを両立させたこれらの4台のクルマが出そろった。さあ、心おきなく楽しむ準備はできたか?


第4位:AudiA4
A4を3万$以下で見つけることはできるが、我々には手に入らなかった。候補に上がったのは$31,220のものである。しかし、我々は、何とか原稿の締め切りに間に合うタイミングで手に入れることに成功した。しかし、予算オーバーになってしまった。こいつは、ウルトラスポーツパッケージで$2950プラスのものだ。18インチアルミホイール、スポーツサス、エアロカウル、革巻きステアリング、235/40 Zタイヤが含まれる。
さらに$2,000を追加して、プレミアムパッケージにすると、革シート、サンルーフ、パワーシート、ドライバーインフォメーションディスプレイがついてくる。このパッケージは諦めたが、それでも十分だ。
さて、A4 は3位を15ポイント下回って4位となった。A4の文句が聞こえてくるかもしれない。我々は、今なおA4のハンサムな顔が好きだ。しかし、モデルの古さは隠せない。このA4はもはや古いエンジニアリングだ。もっと新しいライバル達は、走りも乗り心地も上を行く。
A4のVW製4気筒エンジンは粗い。高速道路の110km/hでさえ、ノイズが耳につく。ギアシフトはA4を操る楽しみの1つであるが、今回のバトルは厳しい戦いなのだ。他ライバル達にとっても、もはや当たり前のことなのだ。Audiのレバーは、テストドライブの時間が経つにつれ、ややスムーズさを欠いてきた。アクセルを戻した時のエンジン回転の落ちが緩慢なため、シフトチェンジも素早くできない。興ざめな部分である。
ライバル達が200馬力以上あるのに、たった170馬力というのも弱点だ。0-100km/hの加速時間が3位のTSXに遅れること0.6秒の8.1秒。1781ccエンジンで猛ダッシュするためには、トルクを作ることが不可欠である。猛ダッシュするためには、常にエンジン回転を上げ、シフトアップしなくてはいけない。しかし、これらの操作は、この車では快適ではない。操る楽しみにおいては、明らかに他車より劣る。
燃費は、非常によく2位である。高速道路では30mpg(12.6km/L)であったが、全行程平均ではTSXと同様25mpg(10.5km/L)だった。
スポーツサスは、改めて道路のデコボコに対しては、その位置づけというものを思い出させてくれた。40シリーズタイヤは決して多才ではない。音も大きい。
タイヤのグリップはカーブでは十分なものだ。正確に意のままに曲がる。
A4の内装に関しては。一番すばらしい得点だ。これはTSXも同等だ。A4は常に運転者との高い一体感を提供している。ただ、後部座席は決して広いとは言えず、もし3人座る機会がある時には、真ん中は小柄な人をお勧めする。
我々は、この比較テストを行うにあたって、1つの事実からスタートした。それは$30,000では楽しいBMWは買えないということだ。そして、もう1つの事実が加わる。同じことが、Audiにも言えるのである。

【第3位:スバル レガシィ】
スバルファンのコミュニティでは、我々が250馬力のレガシィをオーダーするというニュースにまだびっくりしているようだ。
アクセルを踏んだ時のパワーは本当に楽しい。ターボはすぐ働き始める。1速は短くクイックだ。4輪走行はほとんど完璧だ。このおとなしめの4ドアが信号GPでトップを走るのである。そんなレースを我々はしたいのではないが。ライバル達は、2.5GTのロゴが特別なエンジンということを知らなければ、そんなことも感じさせないほどだ。
スバルのエンジニア達は、素直な2.5Lエンジンを驚くべきほどターボチャージするこによって、そのパワーを引き出している。ターボが作動するまでにのタイムラグは平凡だ。しかし、切り替わるエンジン回転数は非常に低いと言えよう。ガソリンの節約モードである800rpmで市街地を走行するのは、心もとない。クラッチを多用する必要がある。しかし、もう500rpm回せば、十分なトルクを得られる。もし燃費が気になるならば、シフトチェンジの時だ。
レガシィは、加速テストではほとんど1位を獲得した。燃費テストでは最下位だった。ただ、ガソリン大喰らいとまでは言えない。ロードホールディングは、0.8gで最も低い。ブリジストン・ポテンザは、レスポンスはソフトだが、よりマッチするのではないかと思う。サスペンションは予想よりロールが大きく、挙動に影響を与えている。力強いエンジンはよいが、運動性能はそれほどでもない。GTバッチをつけてはいるが、まだ不足だ。
強大なパワーを持ってしても、レガシィが予想以上のクルマに仕上がった訳ではない。ドアの開閉音は過去の安っぽいスバル車そのもの。これは、フレームなしのドアガラスを採用していることも影響している。
内装については、ダッシュボードが低く開放的であるが、エンジンは、振動を感じるし、またノイズが聞こえる。
しかし、確かに進化している。レガシィのメーター類は、スイッチが入っていないと真っ暗なガラスだ。これは、フルにLED化されているせいであり、15年前にレクサスLSに初めて接した時に感じたテクノロジーのすごさを感じた。鮮明で見やすい。同時にデザイナーの苦心の跡を上手に感じさせてくれる。言い換えれば、ホンモノの持つ香りだ。
強大なパワーと目をみはるメーター類。これ以上何を望むか?

【第2位:VOLVO S40】
レガシィのようにこの車は、ペダル1つで高出力を発生するターボ車だ。第一印象以上ではそんな風にも見えないが。しかし、そのターボは、レガシィとは違う個性が与えられている。ターボのタイムラグは、ほとんどない!
ターボが炸裂した時、このボルボは一丸となって地平性向けて突っ走る。いったんギアチェンジして、加速を維持するためペダルを踏み続けると。他車以上にスピードが素早く出る。S40は時速120マイルに達する時間が最も短い。ターボはペダルを少し踏んだだけでは目覚めないが。これが、この車の特徴だ。
ビッグトルクは、フロントドライブを通じて伝達される。トルクステアだということだ。この新型S40は、1速ではハンドルを取られるが、そう悪い感触ではない。しかしながら、普通の発進は、少々扱いにくい。この4台の中で、我々のテストドライバー達がエンストをたびたび起こしたのは、この1台だけだ。
ルックスは極めてよい。ダッシュボードのデザインも秀逸だ。しかし、メインダイヤルの文字が細く、見づらいのに難がある。
ロードグリップは、Audiと並んでトップレベルだ。
全てのテストドライバーが口を揃えて言ったのが、この車は洗練されているということだ。乗り心地はシルキーで非常に滑らかだ。ノイズもほとんど消されている。高速道路では、風きり音や何やら奇妙な電子音が聞こえる。5気筒のエンジン音は低速度では目立つが、速度が上がるにつれ消えて行く。ハンドリングはスピードが出ている時はシャープではないが、一方、横風に対してはハンドリングはブレないことに気がついた。
運転姿勢は快適だ。但し、足の大きな人は窮屈感があるかもしれない。
後部座席も心地よい。フロントシートの下に足置場も、とてもいい感触だ。このボルボは、革シートを持たない唯一の車だが、革以上に快適で包まれるかのようなフィーリングのあるファブリックが使われている。

【1位:Acura TSX】
もし、こいつが子犬だったら、全身で喜びを発し、跳ね回っているだろう! この車が「走りの良さ」ランキングでトップを獲った。間違いなく、正々堂々と。こいつがNo.1だ。

スポーツセダンとして、このTSXを、才能あるアマチュアドライバー達に捧げたい。日常使い勝手の優れた4ドア車である。上品さは完璧だ。同時に走りの楽しさも主張している。4台の中では、最も快適な後部座席を備え、走りの質感は最も滑らかだ。ノイズも最もカットされ、フィット感と仕上がり感は、もし車を造るならこうありたいと願う姿そのもののように思える。
まず最初に言えるのが、このAcuraTSXは、ドライバーの喜ばせ方をよく知っている車だということ。ここにはターボはない。自然吸気の2.4Lのエンジンで、アコードの160馬力エンジンを“200馬力で歌えるように”訓練して移植したものだ。トランスミッションは6速で、ペダルは踏みやすく、ステアリングの応答性はシャープだ。

ドライバーにとって理想な走りを見せてくれる。

手や足を通じて、あふれんばかりの走る喜びを感ずる時、もはやテスト値はどうでもよくなってくる。たぶん、それらは、ボーナスに過ぎない。もっともっとペダルを踏みたくなり、もっともっとエンジンサウンドを聞いていたくなるものなのだ。
ハンドリングの応答性は他車よりはいくぶんソフトだ。たぶんその主な理由は、標準タイヤがミシュラン/パイロットHXsで、運動性能よりも、滑らかな乗り心地と静粛性に重きが置かれているせいだろう。この快適性に関しては、TSXは優れている。アンダーステアでの挙動も安定感があり、地面に足がついているかのようなフィーリングを感じるほどだ。TSXは、どんな速度ででも、思いのままに方向を変えることができ、コントロールが非常に楽だ。
燃費に関しては、800マイル走行では、TopのVolvoに次いで2位だったが、専用のテストコースではTOPであった。6速ギアには何の不満もなく、つま先の軽いタッチで、気持ちよく加速できる。非常に滑らかなスタートダッシュ。
ステアリングは軽く、TSXがまるで生き物のように身のこなしのすばやさを感じさせてくれる。高速度になると、直進性は全く問題ないが、カーブではやや神経質な感じがする。不意な力に対して、反応してしまうきらいがある。

TSXは人をその気にさせる魅力を持っている。90年代後期のインテグラtype-Rのように。我々は運転席に座っている間、喜びを隠しきれなかった。しかしこの車は、このカテゴリーに属しトップを獲った車にとどまらない。もっともっと広いカテゴリーで見ても、優れた車である。

★ようやく日本語訳が完了しました。正直、非常に難しかったです。それにしても、Car&Driverの編集者たちの喜びが伝わってくる素晴らしいTSXの評価記事でした。
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