・Acura TSX CNN/MONEYにて Best Car Values 2005 ファミリーセダン部門ベスト受賞
(USアコードも同時受賞)
http://money.cnn.com/news/specials/best_car_values/index.html?cnn=yes
「まるで宝石のようなAcura TSXは、30万ドルクラスのセダンでは世界最高だ。欧州で販売されるユーロアコードがベースになっており、USアコードよりやや小さいが、ずっと楽しいクルマだ。200馬力の4気筒エンジンを持つ、本格的なスポーティーカーで、運転が上手になったかと錯覚させるほどのハンドリング性能を持つ。デザインも、いわゆる高級車顔負けの素晴らしさ。」(2005.2.9)
★相変わらず海外では、受賞が続いています。2年目なのに、すごいですね。
2005年2月6日チェック
<英国自動車サイトAuto Expressでのアコードツアラーi-CTDi 長期テスト第1回2004年11月>
http://www.autoexpress.co.uk/?http://www.autoexpress.co.uk/usedcars_roadtest/usedcars_rt_story.php?id=34261
次の長期テストの車は何かと目を近づけた諸君達の中には、アコードツアラーの色が変わっただけかなと思う人もいるかもしれない。いや、実際は全く新しいクルマで、前回はインディゴ・ブルー・パールだったが、今回はミラノレッドだ。今回アコードツアラーを再び取り上げた理由は単純だ。前回の2.4Lのガソリンモデルが、我々全員の心に非常に深い感銘を与え、それゆえ今度はディーゼルモデルを是非テストしてみようということになったのである。しかし、実は、さらに理由がある。
以前の特集のとおり、2004年のAutoExpressイヤーカーに、我々は、ベストファミリーセダン部門でアコードサルーンを、ベストエステート部門でアコードツアラーを選出した。(この2車は既に2年目であったが) そしてその一方で、新型ディーゼルエンジンi-CTDiを、ベストディーゼルエンジン部門で1位とした。我々は、これらを全て織り込み済みだ。そう、アコードツアラーi-CTDiは究極のテスト車かもしれない。
私はそう思う。主任カメラマンとして、大きく実用的で、トルクが太く、しかも燃費のよいエンジンを持ったクルマが必要だ。なんせ1ヶ月に5,000マイル(8,500km)も走るのである。前回のアコードツアラーの長期テストにおいては、私に順番が回って来なかったので、今回は絶対真っ先に乗ってやろうと心に決めていた。そして、そのとおりになって嬉しい! 私は、これ以上、カメラマンにぴったりのワゴンはないと思っている。
まず最初に印象として、ずいぶんカッコいい車だ。ちょっと前にテストしたフォード・フォーカス C-MAXよりずっとカッコいい。リアの角張ったデザインには意見が分かれるだろうが、本来の機能がしっかりしているという事実が好ましい。唯一残念なのは、16インチのアルミホイールが少々小さく見える点だ。より大きなホイールは選べるが、この車の乗り味は実に滑らかなので16インチでも十分幸せなのであるが。事実、ドライビングに欠点が見当たらない。ステアリングは軽くシャープだし、ボディ剛性はフルに荷物を積んでも、もろともしない。ペダル操作も軽く正確だ。
しかし、真打ちはホンダの驚異的なディーゼルエンジンだ。「何を憎み、何を変えるか」のTVコマーシャルは本当だ。エンジンユニットの滑らかさと静かさは、ぜひ体験してみるべきだ。目一杯撮影機材を積んでも、走りには何ら影響が出ない。
同様に燃費にもあまり影響が出ない。私の走りでは、平均燃費41mpg(1mile=1.6km ガロン=4.5L 14.6km/L)だったが、これは自宅のあるエセックスのチェルムスフォールドからロンドン北西部へ向かうラッシュアワーを、発進停止を繰り返していたことを考慮すると、なかなかの数値である。ロードマップを使う必要は全くなかった。アコードのDVDナビは非常に優れていて使いやすかったからである。
ツアラーという名は、この車にはまさにぴったりの名前だ。ロングツーリングに行きたくなる。これは、広く快適なシート、完璧なドライビングポジションが取れる調整機構(チルト&テレスコピック)の御陰だ。わたしにとってのお気に入りは、究極とも言える5速マニュアルギアボックスだ。しかし、何とオートマチックギアが設定されていないため、知り合いのディーラーでは1ヶ月に6人もの顧客が購入を断念したということだった。このディーラーの店舗は、大都市ではなく静かな郊外でだ! なんとももったいない話である。
もう1つのお気に入りは、巨大な荷室だ。撮影セットをいくらでも放り込め、目隠しのためにカバーをすることができる。ここまで言うと、大げさに褒めているように聞こえるかもしれないが、本当にこのクルマで気に入らないところがないのだ。ただ、ステアリングホイールは、もうちょっと小さい方がいいかな。
そして、私は今、この車のキーを絶対人に渡さないぞと決意をしたところである。
テスト月:2004年10月
価格:21,400ポンド(1ポンド=194円 約415万円)
燃費:走行5760km 平均14.6km/L
寸評:(美点)滑らかで静かなディーゼルエンジン、巨大な荷室、ナビ、しなやかな足回り、快適なインテリア、燃費
(欠点)オートマ車の未設定、ステアリングホイールがちょっと大きい これだけだ!
★既にアコードツアラー2.4Lガソリンエンジン車での長期テストは終わったはずなのに、編集部の面々の心を強く捉えたアコードツアラーが再びディーゼルバージョンでの登場です。これだけで、どれほど人気車かわかると思います。
一方、ちょうどレガシィ3.0L長期テストの最新レポートが掲載されました。日本でのレガシィとアコードの評価の論調と比較してみると興味深いです。
【参考 評価記事】レガシィ スポーツツアラー 3.0L スペックB 長期テスト第1回 (2005年2月5日掲載)
http://www.autoexpress.co.uk/?http://www.autoexpress.co.uk/usedcars_roadtest/usedcars_rt_story.php?id=34261
ここに燃費についての数値がいくつかある。もし諸君が、ルノーラグーナ3.0L V6を運転すると、その燃費は28mpg(9.9km/L)だ。もし、6気筒のBMW3シリーズならば、31mpg(11km/L)だ。そして、スバルは、今回の新しい長期テストに加わったレガシィ スポーツツアラー 3.0R Spec Bに対し、23.7mpg(8.4km/L)と言う。どうして、たった20mpgをちょっと超えるくらいの燃費しかないのか?!
たぶん答えは名前にある。スポーツツアラーは確かに速い。100km/hまでの加速は6.6秒で、最高速は232km/hだ。これはステーションワゴンの仮面をかぶったスポーツカーでは? スバルの広報担当者はこう言った。「ええ、そうです。このクルマは、荷物運搬車というよりはスポーツモデルなのです。インプレッサの6速マニュアルギアも採用されています。」彼もスペックBに乗っているが高速道路では、10km/Lまで上がったとのこと。
私が計った限りでは、そこまでは行かない。トリップコンピュータは、22mpg(7.8km/L)あたりを示していたが、自分で計算してみると、実際は20.1mpg(7.1km/L )だった。この燃費の悪さは自分の体重のせいかと思ったが、それは違う。レガシィを運転した人は、皆、ハンドリングの良さが好きになるが、しかし、車のキーを渡される時にしばしば聞くのが、燃費悪いよという言葉だ。燃費はさておき、スペックBは楽しいクルマだ。乗り心地はスポーティでしっかりしている。4WDシステムが路面をがっちり掴むのに貢献している。3600マイル以上走ってみて、よく走るクルマだと思った。しかし、ステアリングの応答性がイマイチだとも感じた。車輪からの反応が十分ではないのである。
荷室は十分な大きさで、シートを倒すと、1628Lのスペースになる。(注釈アコードツアラーは1700L)巻き取り式のラゲッジカバーは便利だが、テールゲートまで延びないのが欠点だ。これは、目を光らせている車上荒らし対策には十分とは言えない。
車内はシンプルかつスタイリッシュだが、あまり広くはない。後部座席は、大人1人と幼児2人でも、狭いと文句を聞かされる羽目になる。ドライビングポジションもいいとは言えない。ステアリングホイールの位置が高すぎ、快適な運転のためにはもっと下に調整したいのだが。
このスバル車の欠点は、デザインだけにとどまらない。フロントシートのアームレストは低すぎるし、エンジン始動も遅い。しかし、サンルーフはよい。広々としている。
ナビにはがっかりさせられた。タッチスクリーンの使いずらさ。それ以上にいくつかの機能が使えないのには困った。スバルのエンジニアは、ソフト上の問題で、新しいDVDを送付してくれるとのことだったが。その結果は、また報告したいと思う。私の財布は、燃料代と同様に、整備費にもみるみる減っていく。というのも、スバルはスポーツ走行能力の維持のために、1000マイル(1,600km)チェックを勧めているからだ。何の問題も無く、150ポンド(=29,000円)の請求書が手渡された。
コストとデザイン面はさておき、スペックBには美点がたくさんある。“車輪のついたタンス”と揶揄される伝統的なステーションワゴンからはかけ離れた世界だし、上品なルックスに変わった。多くのライバルよりも速いし、しっかりした足回りだ。もし、荷室の広さを必要としていて、しかもドライビングを犠牲にしたくないのなら、検討する価値はある。しかし、このクルマの欠点を考えると、いくつかのドイツ車と比較して、このレガシィが選ばれるのは、ずっと限定される。
テスト月:2004年11月
価格:27,500ポンド(533万円)
★日本人にとっては、意外だと思います。欧州人と日本人の見方に大きな違いがあります。この理由を私は、以下のように考えました。
(1)欧州人の方が環境意識/経済意識が高い。日本の評論家にとってレガシィはベストバランスでも、欧州の評論家にとっては走りに偏ったいびつな円であり、アコードの方が総合性能が高く、円も真円に近い。欧州では、二酸化炭素排出量の少なさと燃費の良さによる資源枯渇防止の意味で、ディーゼルエンジンがマーケットの過半をしめています。
(2)世界的に歴史を振り返ってみれば、ステーションワゴンを商用車からレジャー車のイメージに高めたのは、戦後のボルボであり、欧米メーカーの追随の後を追って、日本メーカーも力を入れた。富士重工も欧米の動きを追って、日本メーカーの中では先頭を切ったに過ぎない。よって、彼らには、日本人が抱くようなレガシィに対する特別な思い入れは全くなく、ある意味、冷めた冷徹な目で見ている。
レガシィは高性能だし、富士重の開発姿勢と小さな会社なのに立派に戦っているのは、非常に好感をもってみています。(富士重社長は、インタビューで「カーメーカーにおけるApple社を目指す」と表明しておられた!) しかし、浪花節的な部分を除くと、レガシィとアコードの差は、日本の評論家が思い入れたっぷりに語るほどなく、むしろアコードの方が総合的には優れているのかもしれません。
2005年1月30日チェック
<英国自動車サイトNEW CARNET.co.ukでのアコードi-CDTiの評価記事>
http://www.newcarnet.co.uk/mag_latest_rtest.html?id=447&highlightws=Honda%20Accord
新しい隣人との会食に先立って、そのダンナさんは、奥さんがブランブレッドが好物だということをそれとなく言った。私は当然ブランブレッドを求めて出かけることになった。
あなたは健康食品店に行ったことがありますか? パチョウリの香りとモーツアルトで洗練された雰囲気のなか、物静かに話す亜麻色の女の子が付き添ってくれる。彼女らはブランブレッドを売っていた。彼女らは古いブランブレッドを売っていたのではなく、まさに本物を売っていたはずだ。
ところが、海老の前菜と一緒にそれを出した時に、そのダンナさんが以下のようなことを言った時、私がどれほどたまげたか想像して欲しい。「これは、家内の口に合わなかもしれません。普通のブランブレッドはありませんか?」 私は、別物を買ってきてしまったようだった!
五感がだまされるのは、これに限った話ではない。先日、私が、新型ホンダアコードi-CTDiで別の隣人を駅まで送っていった時もそうだった。彼は、この車がガソリン車と確信していたが、ディーゼル車だと聞いて、「そんなはずがない。何もエンジン音が聞こえないじゃないか!」と。
...いやはや、少しは聞こえるよ。でもエンジン音も振動も本当にごくわずかなのだ。
アイドリング時でさえ、ディーゼルエンジンに特徴的な爆発音は、このホンダユニットの場合はほとんど聞こえない。このことは、今迄最も洗練されていると評されていたプジョーとフィアットのエンジンですら、もはや“うるさい”部類に追いやってしまうものだ。これほどの静かさは、単に防音吸収材にエンジンが覆われているからではない。このエンジンの精緻なエンジニアリングによるものなのだ。広く知られているとおり、ホンダはエンジンデザインと製作で名を成した会社なのである。
騒音と振動と引き換えにパワーとトルクを獲得していた古いディーゼルエンジンに対し、ホンダの回答は、騒音と振動に妥協すること無く、パワーとトルクを手に入れたエンジンだった。ホンダは、このために行ったことは、以下のとおりである。
2つのステージの燃料噴射装置、いわゆる2次バランサーシャフト、高度な防音エンジンカバー、オフセットシリンダー、振り子エンジンマウントシステム、最適化された燃焼室における圧縮比の低レベル化
すばらしいエンジニアリングは、ボディーにも及んでいる。特にAピラー、いうに及ばずボンネット下。加えて、アコードi-CDTiのフロントサイドのガラスは若干厚めになっている。これは、エンジン音だけでなく、ロードノイズの低減効果も生んでいる。
キャビンが醸し出す快適さ。そして、Dセグメントにおけるベストカーの1台を操るドライビングの楽しさ。全てのセグメントを通じて、おそらくベストであろうエンジン。2000回転で320Nmのトルクをたたき出し、しかも1500回転でその80%のトルクに達してしまうのである。ホンダのエンジンは、もはやクラッチを必要としないのではないかと思えるほどである。必要なのはサードギアとスピードをコントロールするためのブレーキだけだと言いたくなるほどの車だ。
街から狭い田舎道に出ると、同一ギアで十分。4速5速は広い道路に出てからだ。アコードのトルクたっぷりのエンジンは、燃費を驚異的なものにしている。郊外の走行で、61.4マイル/ガロン(1マイル=1.6km、1ガロン=英国4.5L よって21.8km/L)。街乗りで42.2mpg(=15km/L)。両者合わせて、52.3mpg(=18.6km/L)であった。(中略)
最高速は130mph(=208km/h)で、0→100km/hまで9.4秒の加速力だ。140馬力のアコードi-CDTiは、154馬力の2Lエンジンのガソリン車と、全く同じ動力性能を持ったクルマだと言える。(中略)
どのグレードを選んでも、エンジンのトルクとスムーズさだけでなく、極めて身体にフィットするドライビングポジションとトップクラスのハンドリングを楽しむことができる。私は、初めてこの車を運転した時からNewアコードのファンになってしまったという事実を告白する。そして、アコードツアラーに試乗して、益々その思いを強くした。そして、このi-CDTiというちょっと舌をかみそうな名前のディーゼルモデルを走らせてみて、さらに確信したのである。
世の中には「悪い車」というのはそんなに無いと思う。よって、大部分の車は「いい車」なのである。しかし、私にとって「いい車」とは、単にドライバーの運転どおりに動く車ではない。ドラマをもって反応してくれる、言い換えれば、あらゆる局面で心を震わせてくれる官能的なクルマが、「いいクルマ」なのだ。アコードは、そんなクルマだ。先代までは単なる造りの信頼性だけで、決してそんな思いをさせてくれるクルマではなかったのだが。
Newアコードは全くもって変わった。あなたがディーゼルエンジンに対して持っているイメージを破るために。そして、あなたがハイパワーのガソリン車に対して持っているイメージを破るために。BMWやAudi、Mercedes-Benzのガソリン車に乗っているドライバーは、このアコードを買い換え時には選択していい。イメージではなく、少なくともそのクルマとしての性能を選ぶのであれば。
まだ読者諸君の中に疑いの目を持っているものがいるのであれば、ホンダトップの言葉を引用してしめくくりたいと思う。彼は、私が重要視する官能性について述べている。「運転する満足は、より大きな感動を得ることだ。ホンダは「運転する楽しみ」を追究する。なぜなら、それは顧客が求めるものだからだ。」 この会社は、しっかりと地に足がついていると言えよう。
★読んでいて、思わず心が熱くなる記事ですね。そう、アコードはそんなクルマなのです。私は、この記事を読みながら、別の雑誌(英国で最も権威あるAutoCar )で、「アコードの台頭は、欧州自動車メーカーにとっては、控えめに言って、少々手荒い朝のモーニングコールのようなもの。深刻に受け止めれば“新たな脅威”だ。」と表現されていたことを改めて思い出しました。
<アコードi-CDTi 2005年 ニュー・ディーゼル・カーオブザイヤー獲得(2005.1.25)>
http://www.newcarnet.co.uk/newsarchiveitem.html?id=4319&pos=1&highlightws=Honda%20Accord
・ホンダアコードi-CDTiは、FLEET EXCELENCE賞における2005年ニュー・ディーゼル・カーオブザイヤーを獲得した。これは、FLEET WEEK誌における32,000人の読者の投票と編集者達によって選ばれたものである。これについて、hondaの営業責任者ステファン・ホーリンングス氏は、こう述べている。「今回の受賞は特に嬉しい。なぜならば、自動車雑誌が選んだのではなく、数多くの一般ユーザーの視点で選ばれているからだ。」
なお、i-CDTiは、2004年にはAutoExpress誌とTopGear誌で、ベストディーゼルカーを受賞している。
★欧州では、アコードは相変わらず数々の賞を取り続けて、高い評価だけでなく、注目も集めていますね。ホンダももっと、こういう情報を雑誌や広告で広めて行かなければいけませんよ。実力あるのに地味な存在なんて日本での評価は、あまりにも寂しい。広報活動に要改善です。
2005年1月15日チェック
<英国自動車サイトNEW CARNET.co.ukでのアコードツアラー評価記事>
http://www.newcarnet.co.uk/mag_latest_rtest.html?id=442&highlightws=Honda%20Accord
「なあ、君。こいつを履きたまえ。」隊長は、私の父に小さな茶色のシューズを渡しながら、そう言った。第2次世界大戦中のことである。父は、大隊長の専属ドライバーとして北アフリカ戦線に従軍していたが、それ以来、お偉いさんを乗せて、デリケートなペダルワークをするにはあまりに向いていない重いブーツを捨て、心地よい靴を履くようになったのである。
大隊は、同時に3トントラックから、「ハンバー・シューティング・ブレーク」という名のクルマに切り替えた。これは、初期の英国製ワゴンに特徴的だった木製の外装フレームを持つワゴンである。そして、平和な時代が訪れると、このシューティング・ブレークは、狩りや釣りに使われるようになった。今では、レンジ・ローバーのような車がこの役割を負う。ワゴンが、あらゆる目的をこなすマルチパーパスカーに変わって行くのは60年代70年代で、そして脚立も含めた作業道具を積むクルマになった。
この労働者イメージはなかなか拭いきれないものだった。ステーションワゴンを考える時、どうしても社会階層を思い浮かべてしまうものである。それがゆえに、メーカーはこのイメージの払拭に力を注ぎ、貧相なイメージからライフスタイルを楽しむクルマへの転換を図ろうとした。この努力は、ボルボV70の果てしない成功物語に繋がって行くのだった。
きっかけがどうであれ、努力は無駄ではなかった。今や、ほとんど全ての自尊心の高いメーカーは、ステーションワゴンを方向転換させ、装備を充実させて、生来の2ボックスデザインを薄めている。それどころか、パワートレーンに関しても、生まれ変わったかつてのシューティング・ブレーク達は、もはや従来の域をにはいない。ほとんどが、4ドアや5ドアのプレミアクラスのセダンとエンジンや最新のトランスミッションを共有しており、ハンドリングや乗り心地は、伝統的な荷物運搬車の持つイメージを払拭している。
最新のステーションワゴンの1つであり、ステーションワゴンの伝統的な良さを残す好例が、ホンダ アコード・ツアラーである。ここでは、2.4Sを取り上げる。絶賛を受けたセダンに続いて、販売開始されたこのツアラーは、4ドアセダンの良さをそのままに、さらに広大な荷室にアドバンテージがある。この広大な荷室は、「小さなトラック」と言っても過言ではないものだ。
2.4L i-VTECエンジンは190馬力でピークトルクは223Nmで、あらゆる面でホンダらしいクルマになっている。速く、極めてコントロール性に優れ、そしてライバル達を凌駕する乗り心地を持っている。ツアラーは、従来のステーションワゴンに対する先入観を覆し、2ボックスライフスタイルへの憧れを抱かせるような魅力を持っている。
ツアラーのデザイナー達は、エレガンスと使い勝手が相反するものではないことを見事に証明してみせた。Bピラーまでのデザインはセダンと同じであるが、Bピラーより後ろについては、アルファロメオ156スポーツワゴンや、レクサスIS300スポーツクロス(アルテッツア ジータ)などで特有なスポーツワゴンスタイルに対し、ホンダ流の解釈が加えられている。ツアラーのウインドウラインは、斜め上に延びていくボディー側のラインと斜め下に下がっていくルーフ側のラインに挟まれて、シャープなテーパーラインを描いている。この効果によって、荷室が特大でありながら、見かけ上は荷室がそれを感じさせないデザインとなっている。
単純にルーフラインを延ばし直角に切り落としたデザインは、もはや過去の悪例だ。ホンダによって、ステーションワゴンのデザインに最もうるさい評論家達も満足する新たなデザインが生み出されたと言える。
ホンダのデザイナーは、実にいい仕事をしたと言える。その一方で、500kg以上の積載重量、1700L の積載容量は、ステーションワゴンカテゴリーの中では、トップクラスだ。使い勝手もよい。フロアは低く、完全にフラットだ。ルーフラインの傾斜にも関わらず、荷室の高さはクラストップだ。タイヤハウスの張り出しはほとんどなく、テールゲートの開口部の広さは、カテゴリー最大の1つだ。フロア下には50Lの荷物入れが隠されている。そして、キラーアイテムは、パワーテールゲートだ。キーのボタン1つで開閉が可能。
たとえ、私が友人の引っ越しの手伝いをすると言い出しても、ホンダは全く驚かない。ワンモーションリアシートによって、アコードツアラーは、5ドアエグゼクティブカーから、しばし、古き時代の荷物運搬車に変身する。私は、重い荷物をたくさん詰め込んで田園地帯を疾走してみて、コンパクトに設計されたマルチリンク・リア・サスペンションが0.5tもの荷物をうまくいなすことができるか確かめてみた。
あなたもきっとそう感じるだろうが、この重量物の運搬が、全く気にならない。軽快なハンドリングは、家具や冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機、食器洗い乾燥機の重量に全く負けない。テストがまだ足りないのかもしれないが、それでも言いたいことはわかってもらえるはずだ。トルクフルなエンジンの御陰で、筋肉疲労のかけらも見せない。
このことは、ホンダが好んで「ツアラー」と「スポーツ」を結びつけて宣伝しているので、全く驚かない。言葉どおりである。最高速度 時速138マイル(222km)、0-100km/hまでの加速所要時間は8.4秒。2.4Sアコードツアラーは、スポーツカー顔負けの性能を誇る。中には、高性能の証明書を欲するドライバーもいることを考慮して、2.4SにはVSAと呼ばれる装置を付けている。
ヴィークル・スタビリティ・アシストの略称であるVSAは、オペレーティング・コンポーネンツの組み合わせである。最もシンプルな形として、伝統的なトラクションコントロール装置(状況に応じたタイヤ回転とエンジン点火のコントロール)があり、それに加えて、センサーがアンダーステアとオーバーステアを検知して、必要に応じて内側か外側の車輪へのブレーキングを行うものである。これこそ、ステーションワゴンが必要とするものであり、このような装置が、ステーションワゴンが近年どれくらい進化したかを示すものなのである。単にスタイルや技術だけが急速に発達しただけでなく、ユーザーのニーズに応えるセンスも磨かれなくてはいけない。もはやステーションワゴンを販売する営業マンは、荷室の広さをアピールするだけの時代ではない。
私は、アコードセダン2.4Sをテストした時に、この車の持つ心地よさと真の運転する楽しさに感動した。そして私は、この評価をアコードツアラーに当てはめることに何のためらいもない。両車の室内の仕立ては、全く同じである。同様に、ドライバーを温かく迎え入れる雰囲気作りや、操縦性も同じである。6速ギアからフル=アジャストブル=シート&ステアリングまで、アコードツアラーは、人と機械の一体化において、スタンダードとなる車だ。他メーカーにとって、このクルマを研究することは非常に有益だ。
ボグゾール(英国オペル)NEWベクトラワゴンと同様に快適な車だと言える。これは、この日本車に対する賛辞と受け取ってほしい。
しかし、このクルマは、快適なだけにとどまらない。スポーツカーを運転する官能性と数々の高い機能に裏打ちされた合理性がプラスされている。フロント・サイドカーテンエアバッグからクルーズコントロール、パワーテールゲートまで、アコードツアラーは、そのエレガントなスタイルの中に、豪華さを併せ持っている。さらには、小さいけれどハッとするような細部へのきめ細かい作り込みも言及しなければいけない。たとえば、2.4Sのキーレスエントリーシステムやブラックフェイス電動ダイヤル、スライド可能なアームレスト。20,095ポンド(1ポンド=200 円 約400万円)に微笑むことができれば、もうあなたのものだ。
さらに2000ポンド(40万円)を出せれば、エグゼクティブモデルを手に入れることが出来る。これは、DVDナビや革シート、サンルーフ、6連CDオートチェンジャーを装備する。さらに1000ポンド出せれば、オートマを選べる。予算が厳しいオーナーに対しては、2.0 Lバージョンも用意されている。価格は、5速マニュアルで17,495ポンド(約350万円)だ。2004年にはディーゼルモデルもラインナップされる。
しかし、ベースモデルでもあまり差がない。2.0Lエンジンは10秒以下で時速100kmまで車体を加速させるし、装備は上級モデルとほとんど変わりない。標準装備に付け加えたいオプションとしては、スポーツサスペンション、ルーフレール、17インチアルミホイールだ。あとは、“心地よい靴”くらいか。
★英国のステーションワゴン評価は、やはり国内のそれとは気合いの入り方が違いますね。
12月26日チェック
★今週は久しぶりに米国編です。
<米国自動車サイトcar.com より>
http://www.cars.com/go/advice/Story.jsp?section=buy&subject=most_pop&story=popNew&referer=advice&aff=national
・04年新車人気ランキング
1位:ホンダ USアコード
2位:ホンダ シビック
3位:トヨタ シエナ
4位:トヨタ カムリ
5位:トヨタ カローラ
・04年中古車人気ランキング
1位:ホンダ USアコード
2位:ホンダ シビック
3位:フォードマスタング
4位:トヨタ スープラ
5位:トヨタ カムリ
・クラス別ベストクオリティ(JDパワー調査)
http://www.cars.com/go/advice/Story.jsp?section=top&subject=iqs&story=iqsCar&referer=advice&aff=national
AcuraTSX エントリー高級車部門1位
<米国自動車サイトmotortrend.com より>
Acura TSX 対 メルセデスC230 対 サーブ93
http://motortrend.com/roadtests/sedan/112_0307_30k/
上記3台のスポーツセダンは、3万ドル(約300万円)を少し超える価格で、燃費に優れ、またドライブの醍醐味を感じさせてくれるクルマ達である。
エントリーレベルの高級車におけるスポーツセダンと聞いた時、あなたなら何を思い浮かべるか?「エントリーレベル」と「スポーツセダン」が同時に出てくるとなると、それは6気筒であるBMWやインフィニティ、アウディ、メルセデス、ジャガー等の29,999ドルをベースとする車だろう。しかし、たいがいの場合、オプションを付けた途端、すぐに35000ドル、40000ドル、あげくは45000ドルとなってしまい、ディーラーから逃げ出さなくてはいけなくなる。
上記3つのプレミアムブランドの提供するエントリーレベルのスポーツセダンは、28000ドルから33000ドルなのにしっかりした装備で、4気筒エンジン+プレミアムガソリンでの燃費も良く、6速ギアによる運転も楽しい。1台は自然吸気。1台はスーパーチャージャー付き。3台目はターボチャージャーだ。これらの4気筒は、V6カムリとBMW3シリーズの中間の価値しかないか?それとも、「4気筒の高級車」ということ自体が矛盾なのか? 2週間にわたるテストが、その答えを出してくれるだろう。
これらのうち、最も新しいデビューは、FF車であるAcura TSXである。位置づけは、RSX(インテグラ)とTL(インスパイア相当)の間にある。TSXは、2.4L 200馬力i-VTECエンジンを持つ、ホンダアコードのヨーロッパバージョンをベースとしている。
2番手は、メルセデスのコンパクトC230セダンスポーツパッケージだ。1.8Lスーパーチャージャー 189馬力で、ベースとAMGスペックの中間に位置する。
3番手は、サーブ93だ。GMの世界プラットフォームをベースとしているが、このベースを使った車には、シボレーマリブ、ポンティアックグランダム、オペルベクトラがある。2L スエーデン伝統のターボチャージャー付きで210馬力のFF車。安いモデルでは175馬力のターボ車もラインアップしている。
<エンジン>
Acura TSX が、高回転の最新のVTECエンジンの力で、加速競争ではチャンピオン。アキュラのパワートレーンは、「4気筒の真珠」とも言えるほどだ。軽いタッチのクラッチペダルとの組み合わせは、“熱いパワー”と“静かさ”を同時に実現している。燃費も30マイル/ガロンと良好だった。
<ハンドリング>
アキュラとサーブはFF車で、ベンツはFR車である。スタビリティについては、TSXが1番である。2番はC230となる。
しかし、主観的には、我々のハンドリングコースと高速道路での好みは、C230が1番だ。ハンドリングが正確で、重さも適度だ。ブレーキ制動もよい。
2番目に好きなのは、静かで快適と言う点で、シャープなハンドリングを持つアキュラだ。サスペンションのセッティングは、完璧と言える領域だ。TSXの走りは非常になめらかであるが、惜しいのはC230に比べ、ハンドリングが過敏に思える点だ。
<外観>
スエーデンはモダン、ベンツは重厚、TSXはスポーティ。
TSXには、アウディとアルファロメオの影響が感じられる。
<インテリア>
TSX はスポーティと豪華さがうまくミックスされている。ベンツはシートが良い。サーブは操作ボタンが多すぎる。
<コストパフォーマンス>
これはTSXが圧倒的にトップだ。VSA、17インチホイール、HIDヘッドライト、ムーンルーフ、オーディオ&クルーズコントロールボタン付き革巻きステアリング、左右独立エアコン、キーレスエントリー、6連CDチェンジャー付きプレミアムサウンドシステムが標準装備だ。唯一のオプションは、ボイスコントロールナビだけだ。
<ドライビングの楽しさ>
サーブはスロットルとコーナーリンググリップが楽しい。
TSXは、最もドライバー中心に考えられたセダンだ。そのハンドリングは、FF車であることを忘れさせてくれる。
C230は、スポーツセダンである必要は無いのだが、FR車であることとエンジンの良さが光っている。
<結論>
どの車がベストチョイスか? スポーツセダンとは、自ずと限界へ駆り立ててくれ、しかし一方では、実用的なキャビンおよびトランクスペースが確保されており、さらには快適な豪華さと燃費の良さも必要だ。
サーブは、価格面と控えめなヨーロッパスタイルが魅力的ではあるが、スポーツ性ではアキュラやメルセデスに劣る。3位とする。
TSXは、反対に、高回転エンジンと軽快なハンドリング、質感に優れている。しかし、ハンドリングがややシャープすぎやしないか?またブレーキ制動ももう少し強力でもよい。
最後に残ったのは、C230だ。しっかりした乗り心地とコーナーリング、そしてメルセデスのエンブレムは強力だ。FR車ということは、このカテゴリーで多くの購入層にアピールするだろう。もし予算が30万ドルあるのなら、この車を1位としてお勧めしたい。
★惜しくもこの対決では2位でした。しかし、日欧アコードがベースとなっているAcuraTSXの位置づけの高さもわかっていただけたと思います。
12月19日チェック
<英国自動車雑誌サイト 4carより>
・クラス別ベストカー アコード(セダン&ツアラー)ラージ・ファミリーカー部門で1位受賞
http://www.channel4.com/4car/best-in-class/large-family.html
クラス別ベストカー:ラージ・ファミリー
1位 ホンダ:アコード
2位 マツダ:アテンザ
3位 ボルボ:S40
1位 ホンダ アコード (評価:4.5ポイント お勧め2.2ディーゼル)*最高5ポイント
アコードはこのクラスにおいては、安価な車ではない。しかし、もしライバル達よりも若干高い価格を支払うことができるなら、もしくは価格を抑えるためオプションを我慢することができるなら、我々はアコードがこのクラスでベストな車だとお勧めしたい。どの評価分野においても、最高もしくは最高に近い。品質は最高。質感と操縦性は良い。エンジンは“究極”だ。特にディーゼルエンジンは。キャビンスペースも素晴らしい。ステーションワゴンの容量は大きい。一方、インテリアは、このクラスの他の車より、1ランク上だ。これらのクオリティの高さは、再販価格の高さを意味し、購入時の高い値段も結果的には、相殺されるだろう。
2位 マツダ 6(アテンザ)(評価:4ポイント)
マツダ6は、ルックスとドライビングフィールをアピールする車というにとどまらず、値段が安い。13000ポンド(240万円)以下から選べるのだ。但しマツダ6がたとえ激安車ではなかったとしても、我々はルックスとインテリアの良さからお勧めしただろう。難を言えば、室内の素材が今ひとつだが。あと、エンジンサイズの割にパフォーマンスが良くない。そして、低速での乗り心地が堅い。しかし、ハンドリングの応答性はよい。この車のコストパフォーマンスは非常に高い。
3位 ボルボ S40 (評価:4ポイント)
ボルボS40は、このクラスでは大きな車ではない(ステーションワゴンは例外かもしれないが)。しかし、細部にわたるクオリティは好感が持てる。ルックスはよく、スタイリッシュでありながら広いキャビンを持つ。エンジンも強力なラインナップだ。ボルボS40は、このクラスのベストカーの1つだ。俊敏だが、快適でしなやか。その実力は、従来このクラスを支配してきたモンデオやベクトラを凌ぐ。
<米国自動車雑誌サイト Car & Driverより>
・Car & Driver 05年 10ベストカー(10部門におけるベストカー)
Acura TSX スポーツセダン部門ベストカー
US アコード ファミリーセダン部門ベストカー
http://www.caranddriver.com/article.asp?section_id=33&article_id=8915
「手作りにも似た精緻な造り」は、アキュラにマーケットが特別に与えた賞賛だ。そして、それは長い時を経て、今はこの宝石のような小さなスポーツセダンに当てはまる。TSXは、あらゆる面において完璧さにこだわったクルマである。ネコのような俊敏さと豪華さは標準装備だ。唯一のオプションは音声コントロール可能なDVDナビだけだ。
TSXは、大成功を収めたインテグラの4ドア版として追加ラインナップされた。しかしTSXとインテグラとの共通性はここまでだ。インテグラはシビックをベースとし、TSXはユーロ・アコードをベースとするのである。TSXは、インテグラに比べずっと洗練されている。より滑らかで静かだ。しかし、そのことはインテグラの持つ運転する楽しさに欠けていることを意味しない。神経手術並みの正確なハンドリングで、TSXは疾走することができるのだ。
TSXには、もう少しパワーがあってもいいと思う。もちろん、200馬力のパワーは、6速マニュアルミッションと組み合わされ、鋭い加速と速さを誇る。他の美点も加え、この車がクラスベストだ。
★2年目になっても、欧州/米国で高い評価を受け続けていますね。このことは、アコードを考える上で、心に留めておかなければいけないことです。
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