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<また雨か?>
7月22日朝、私はどんよりとした空を見上げていた。
「また雨か〜、もういい加減にしてくれよな!」
朝のNHKニュースでは、台風の接近が梅雨前線を刺激して、週末は雨、ところにより雷をともなって激しく降ることを告げていた。
今日は、1ヶ月ぶりのキャンプ。場所は、前月とおんなじ成田ゆめ牧場。おやじと私と娘の3人がメンバーだ。成田ゆめ牧場は、千葉県**市の自宅からも千葉市の実家からも1時間半と近く、また広大な草原のキャンプサイトがなんだかテント村みたいで、すっかり気に入ったのだった。
自宅に電話すると、おやじの気乗らぬ声。「なんか、相当降りそうだな。やめとこうか? 雨のキャンプは、つまらんだろうからな。」「そうだなあ。ちょっとぐらいの雨なら行きたいけど、相当降りそうだしね。残念だけど中止としようか?」
あ〜 やるせない。 しばらく、布団にごろっと横になる。 諦めきれない。 電話で天気予報を聞く。
「....日中は、にわか雨が降るでしょう。しかし、今夜から天気はゆっくり回復に向かい.... 」
何と! 何と! もしかしたら.... 改めて、ベランダから外を見ると、雨が止んでいる! 薄日も差し出した! 自宅にすぐtel を入れ、12時半に行くか行かぬか決定することにした。
さあて、すぐ準備だ! 近くのマツモトキヨシに買い物に出かける。アレっ? また、パラパラしはじめたぞ。それでも、何とか持ちそうだ。行くことに決定する。
準備に時間がかかってしまい、出発できたのは1時半だった。国道4号線は、結構混んでいる。時折ぱらぱらっと小雨が降る。しかし、そのうち、曇りのなかにも、前の車のリアウインドウに、ぼーっとした太陽の姿が映りはじめていた。
このまま天気が回復してくれ! 祈るような気持ちでハンドルを握る。 そして、利根川の土手に沿って走り始める頃には、青空も見え始めていた。
娘は、天気がよくなって嬉しそうだ。カーステレオから流れてくるセーラームーンの歌に合わせて、さっきから歌っている。 窓から見える田んぼの緑がまぶしい。小波のさざめく河面が太陽の光を受けて一層青い。
もう夏だな...
<おいしいぞ!マシュマロ焼き>
牧場の入り口でおやじと合流。10分くらい待ったそうだ。そのまま進み、見渡すサイトは、そこそこ空いている。
3時半を回ってしまったので、大急ぎで設営にかかる。ムーンライト5は、今回は5分強で立てられた。おやじは、1年ぶりで、すっかりたて方を忘れてしまっているので、助け船を出す。おやじのテントは、ヴィクトリア製のストラットンドームテント。ほとんどムーンライト5と構造も大きさも同じなのです。これもあっという間に設営完了。次は、タープ。 娘がポールを持ち、大人2人で綱を張る。風に備えて、車のシステムキャリアにロープを結び付ける。タープを鋏むようにして、2台の車で引っ張る形にしたので、メインポールは多少の風ではびくともしない。
休む間も無く、お米をとぎ、水につけて寝かせる。バーベキューコンロにチャコールブリックスと炭を並べ火を付け、娘にうちわであおがせる。家で切ってきたたまねぎや肉、ジャガイモをなべで炒める。
「おとーさん、おなかすいたよ〜! おとーさん!」 娘が我慢できなくなってきたようだ。
炒めた材料を煮込みはじめて、ようやく落ち着く。 「よ〜し、今日はマシュマロ焼きをするぞ〜!」 「わ〜い!」
マシュマロの袋を開け、バーベキュー用の竹ぐしにさして、置き火にかざす。15秒ほどでジュウと溶けはじめるので、そしたらあわてて食べる。トロッとした甘さの中にちょっとお焦げの苦味が混じって、まあいける。 娘も「ほら、焼けたよ!」と私にマシュマロを見せて、ぱくっと食べた。でも、よく見ると、焼けたのではなく、単に炭の黒いのが付いただけだった。(^^;) おやじもものめずらしそうに食べる。
<”トーキング”の教え>
カレーが出来上がり、夕食開始。ビールを飲んで、かんぱーい! 夕暮れがとてもきれいだ。成田空港が近いので、時折ジャンボジェットの機影が横切る。「キャンプに行くと光るUFOが見えるんだよね〜」 娘が突然言いだす。おやじはキョトン? NHKの「ひとりでできるもん!」で木村東吉が”トーキング”としてキャンプのやり方を教えている時の一コマだよと教えてあげて、ようやくわかったようだった。
ヒグラシが鳴いている。夏の夕暮れに聞くヒグラシの鳴き声は、暑かった日中を忘れさせてくれるような響きがある。
暗くなり、ランタンをともす。娘とおやじは、食器を洗った後、花火を見に広場の方へ散歩に行った。私は、さすがに疲れてきて、2本目のビールを空けて、コットにごろん。 心地よい酔に、日頃の仕事の疲れが少しずつときほぐされていくような気がした。まどろみを楽しみながら、これがキャンプなんだ、と一人感動していた。(全くオーバーだナ ^^;)
さて、寝るか... 今日は、おやじにエアマットの快適さを味わってもらうつもりだった。前回の反省で、空気を多めにいれた。ブヨブヨ感もなく、きわめて快適そうだ。「これは、ほんもののベッドみたいだね。 こりゃ、いいね!」
「わーっ、雲みたい」
「みほちゃんは、おじいちゃんとネンネするか?」と私が切り出すと、
「ウン!」
さっきまでは、こっそり聞いても、お父さんと寝ると言い張っていたけど、よしよしうまくいったぞ!(^^) おやじも娘とテントで寝れるとあって喜んでいる。
ひとり、ムーンライト5に入る。「ひろい!」と感じるとともに、なんとなく懐かしい気持ちが.... この気持ちなんだろうと思ってみるに、これは、久しぶりの自分の部屋を前にした時の気持ちなのだということに気がついた。そういえば、結婚してからは、確かに自分の空間って無かったような気がする。 大の字に寝て、この気持ちを満喫する。TOKYO-FMのラジオ劇場を聞きながら、眠りについた。
<小鳥のさえずりで目を覚ます>
朝、小鳥たちの鳴き声で目をさます。おてんと様は、ようやくぜんぶ顔を出したくらいだった。時計をみると、まだ4時すぎだ。もう、すごいさえずりだ。 しかし、小鳥のさえずりに起こされるなんて、まあ何て粋なんでしょ。 と思いつつも、やはり眠く、またウトウトする。
6時に起きあがり、朝食の仕度。トーストに、いれたてのコーヒー、ソーセージに海藻サラダ、カレーシチュー(単に昨日の残りだけど御飯がないので ^^;)、ヨーグルト... タープでできた日陰の下で食べる朝食は、さわやかだ。
テントを撤収する前に写真を撮ってしまう。途中でリモコン機能を思い出して、みんなでポーズ。
ああ、楽しい2日だった。最近は、ある意味じゃワンパターンしてきたかもしれないが、それでもやっぱりキャンプはいい! 気をはらず、欲張らず、のんきにキャンプと自然を楽しんでいこう。
それにしても、朝から、すごい暑さである。キャンプ場をちょっと出たところにあるコンビニでジュースを飲んでいると、窓のサッシに黒い昆虫を発見。よくみると、コクワガタだった。20年ぶりに見るクワガタだった。
夏が来たんだなあ.....
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