PowerBookG3を使いはじめて半年たった時、電気が完全に切れず、気が付くと本体が熱を持っているトラブルに見舞われました。いつも翌朝気が付くので、最初は夜中に勝手に電気が入ってしまうのかと思っていました。販売店を通じて修理を依頼したのですが、2週間後の回答は「症状が再現しない」ということで、結局さらに2週間見てもらった挙げ句、そのまま戻されてきました。しかし、その後も発生します。
販売店に問い合わせても、また再現しなかったら同じだと言います。どうしたらいいのかわからず、せっかくのお気に入りのPowerBookG3も、使うたびにいやな気持ちになりかけていました。
あきらめに近い境地に立った時、Appleに直接電話して得た最後のアドバイスが、今度発症した時に、秋葉原のクイックガレージに相談してみてくれというものでした。保証期間中なので無償だとのこと。ただAppleの修理センターに送るだけの販売店保証を1年目は気にする必要はなかったのでした。
なお、秋葉原のクイックガレージというのは、日本NCRが運営しているMacトラブルの救急病院です。
クイックガレージに電話すると、症状が発生したらそのまま持ってきてほしいということと、さらには「電気が勝手に入っているかどうかは、熱を持っているかどうかではなく、capslockボタンで確認できるので、発生時をチェックしてください」とのアドバイスを受けました。その結果、電源が勝手にはいるのではなく、実は電源が完全切れていないことが判明したのでした。そして、2回の試行錯誤の後、CPUとロジックボード、DVD-ROMドライブの交換で完治しました。もやもやした悩みが嘘のように晴れ、その後愛機のトラブルは2度と発生しなくなりました。
私は、クイックガレージの技術者の方に深く感謝しました。悩みを聞いてくれ、治り具合をチェックしながら、ダメなら次の手で対処する。ここには確かなコミュニケーションがあり、そして尊敬の念と信頼関係があります。理想的な医師と患者の関係に極めて近いと感じました。思い返せば運用元の日本NCRには、PowerBook100やPowerBookDuoの時代にも大変お世話になっていました。この時も、「もしここでMacを売っているならば、必ずここで購入するのに」と思ったものでしたが、技術者魂は、時間を経ても、また事務所が異なっても、きちんと行き届いていたのでした。
一方、原因追求のための手段もいろいろあるはずなのに、そのアドバイスもできないAppleのサービスセンターの応対は、極めて底の浅いものと言わざるえないと実感しました。技術者の熟練度にNCRとは天と地の開きがあることが想像されました。実は販売店の保証プログラムには入っているのですが、結局Appleに送るだけなので、次世代マシンを新規購入する時は、もう入るのはやめるつもりです。
健康体に戻ったPowerBookG3を使いはじめて、しみじみと思いました。”Macを使っていてよかった。クイックガレージのような極めて優れたアフターサービスがあるから。”
製品が高度化し、また顧客の要求が高くなってくると、トラブル時のアフターサービスが大切になってきているような気がします。Appleが顧客満足度の高い会社とは、私自身は思っていません。特に、G4Cubeの大量トラブル時の開き直りを聞いているのでそう思います。
それでは、なぜMacを使っているかと言えば、過去の遺産の継続とクイックガレージのようなサービスの存在やMacコミュニティーの居心地がいいからかなあと思います。世界的に見ればMacがわずか2〜3%という小さなシェアなのに、固定ファンを掴んでいて崩れないのは、決してメーカーの力だけではないと思います。
今、愛車のホンダアコードワゴンでも初期トラブルに巻き込まれてしまっています。ここでも販売店の誠実な対応が救いになっています。
困っている時に、自分が顧客として受けた誠実な応対は、身にしみてありがたいものです。このような応対やサービスを、自分自身が仕事をする上でも見習って生かしたい。そう思います。
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